INTRODUCTION

2001年、韓国から映画界に新たなラブストーリーの時代を切り開いた、型破りなヒロイン──『猟奇的な彼女』が現れる。可憐で凶暴ながらも、胸の内に繊細さを秘めたその姿が多くの共感を呼び、韓国で約500万人を動員する記録的大ヒットを樹立。2003年の日本公開でも多くの観客を魅了し、アジア全域で一大“猟奇”ブームを巻き起こした。さらには、スティーブン・スピルバーグ率いるドリームワークスがリメイク権を獲得するなど、その反響は世界へと波及していった。
また、従来の恋愛映画の常識を覆す斬新なキャラクター像と、笑いと涙が巧みに交錯する物語は、数々の後続作品に多大な影響を与え、《現代ラブコメ》の礎を築いた名作として今も語り継がれている。
そして今、その傑作が4K完全版としてスクリーンに蘇る。4K化に際し、監督自らが再編集・監修した約13分の追加シーン収録版が、待望の劇場初上映を果たす。まるで当時の温度と記憶を閉じ込めたタイムカプセルを開くように、あの日のときめきが、いま再び鮮やかに映し出される。誰かを想うことの切なさと尊さ、そして世代を超えて心に響くクライマックス。観終えたあとには、きっと大切な誰かのことを思わずにはいられない。

本作の監督は、『ラブストーリー』(03)や『デイジー』(06)などで知られる恋愛映画の名手、クァク・ジェヨン。主演は、愛らしくも過激で、正義感たっぷりな“彼女”を演じたチョン・ジヒョンと、親しみあふれる等身大の魅力でキョヌを体現したチャ・テヒョン。本作をきっかけに韓国を代表するトップスターへと駆け上がった二人の、どこか初々しさを残す掛け合いと瑞々しい演技が物語を躍動させる。さらに、バラードの王と呼ばれる、シン・スンフンが歌う永遠のラブソング「I Believe」をはじめ、パッヘルベルの「カノン」など、美しい旋律に彩られた珠玉の音楽が物語を優しく包み込み、観る者の心に忘れがたい余韻を残す。

STORY

大学生のキョヌはある晩、地下鉄で泥酔したひとりの美女と出会う。彼女は車内で騒ぎを起こした末にそのまま気を失い、なぜかキョヌが介抱する羽目に…。そんな最悪な出会いをきっかけに、彼の平凡な日常は一変し、ふたりの予測不能な関係が始まる。清楚な雰囲気とは裏腹に「ぶっ殺されたい?」が口癖の、超ド級に勝気で奔放な彼女。振り回されながらも、共に時間を重ねるうちに、彼女はキョヌにとってかけがえのない存在へと変わっていく。しかし、ふたりの楽しかった日々の裏には、彼女が抱える誰にも言えない「切ない秘密」があった──。

CAST

猟奇的な彼女 / チョン・ジヒョン
名門女子大に通う女子大生。清楚な雰囲気とは裏腹に「ぶっ殺されたい?」が口癖の、超ド級に勝気で奔放な性格。その一方で、お年寄りに席を譲らない若者を一喝したり、ポイ捨てする青年に噛みついたりと、強い正義感の持ち主でもある。しかし、その明るく破天荒な振る舞いの裏に、ある切ない秘密を抱えている。
キョヌ / チャ・テヒョン
不器用ながらも誠実で、困っている人を放っておけない心優しい青年。兵役を終えて大学に戻ったものの、あまり勉強をしている様子はない。ある日、仲間たちとお酒を飲んだ後、駅のホームで泥酔した女性を助ける。それが“猟奇的な彼女”との運命的な出会いとなる。

STAFF

監督・脚本:クァク・ジェヨン
1959年5月生まれ。1989年に『雨降る日の水彩画』で長編映画監督デビュー。2001年、『猟奇的な彼女』が韓国で社会現象的ヒットを記録し、アジアを代表する映画監督の一人として広くその名を知られる。以降も『ラブストーリー』(03)、『僕の彼女を紹介します』(04)、『僕の彼女はサイボーグ』(08)など数々のヒット作を発表。また、脚本家としても『デイジー』(06)、『あの夏、僕たちが好きだったソナへ』(25)などを手がけ、繊細な感情描写とロマンティックな演出で高い評価を受けている。
COMMENT:
初公開以来、時代が変わり、再び公開されることになり、嬉しく思います。今この映画を見れば、奇抜には感じられないかもしれません。あるいは古臭く感じるかもしれません。あるいは、私にとってこの映画は2000年代へと戻るタイムマシンであり、もしかするとタイムカプセルなのかもしれません。しかし、この映画に込められた感情は率直で純粋です。 どの時代であっても、愛し合う人々が経験したり、経験したいと思ったり、あるいは経験したくないと思うような物語かもしれません。『猟奇的な彼女』を通じて、喜びや幸せ、愛のときめきを見つけてくださるなら、私もまた、この映画のおかげで幸せになれるでしょう。
原作者:キム・ホシク
1975年2月生まれ。大学で機械設計を専攻する傍ら、1999年より「牽牛74(キョヌ74)」のハンドルネームでインターネット上に小説『猟奇的な彼女』を連載。当初3編で終了予定だったが、読者からの熱烈な支持を受けて全35編へと発展。2000年の書籍化ではベストセラーを記録し、翌2001年に韓国で公開された映画版も空前のヒットとなった。
撮影監督:キム・ソンボク
1961年7月生まれ。撮影助手として約30本の映画に携わった後、1996年の『キチョンド』で撮影監督デビュー。『シュリ』(99)、『JSA』(00)、『猟奇的な彼女』(01)をはじめ、幅広いジャンルでその才能を発揮。1990年代後半から2000年代初頭の韓国映画界を代表する撮影監督の一人として高い評価を受けた。
音楽:キム・ヒョンソク
1966年9月生まれ。韓国を代表する作曲家・音楽プロデューサー。1988年のデビュー以来、約1400曲を制作。シン・スンフン、キム・ゴンモ、パク・ジニョン、BoAら数多くのアーティストのヒット曲を手がけ、韓国音楽界を牽引してきた。映画やドラマ音楽にも幅広く携わり、『猟奇的な彼女』ではオリジナル・サウンドトラックをプロデュース。JYPエンターテインメント創業者のパク・ジニョンに音楽制作のノウハウを伝えたことでも知られ、K-POP黎明期を支えた韓国屈指のヒットメーカーとして高く評価されている。
制作会社:シンシネ
1988年にシン・チョルが設立。劇中でキョヌが“彼女”の脚本を売り込むために訪れる映画会社としても登場。『結婚物語』(92)、『ミスター・マンマ』(92)、『KUMIHO/千年愛』(94)、『銀杏の木のベッド』(96)などのヒット作を生み出し、1990年代以降の韓国映画界を牽引した。『猟奇的な彼女』ではインターネットを通じて一般から製作資金を募るという、当時としては先進的な資金調達を実施し、大きな話題を呼んだことで知られる。『手紙』(97)、『LIES/嘘』(99)などの製作でも高い評価を得ている。